「大阪大学工学部通信工学科50周年記念誌」から

電磁波工学講座

 本講座は通信工学科第四講座として,昭和17年に設置された。当初,教授熊谷三郎,青柳健次および助教授菅田栄治の分担で発足したが,昭和19年菅田が昇任して担当教授となった。助教授は佐野鉄太郎(昭和20年〜昭和23年),次いで中井順吉(昭和30〜昭和34年)と変り,学内講師寺田正純(昭和30年〜昭和34年)であった。
 講座内容は電子工学,特殊通信工学であって,教育面では,電子工学原論,電子応用機器,通信工学特論および通信材料学等の講義を担当した。また,研究面では,電子幾何光学,電子顕微鏡,電子放出現象および超高周波領域における電子現象などの分野において大きな成果を挙げた。
 昭和33年新設された電子工学科へ菅田等が転出した後,講座内容は超高周波工学に変更され板倉清保が担当教授に就任した。助教授は熊谷信昭(昭和35年〜昭和46年)のちに倉薗貞夫(昭和46年〜昭和59年)が務めた。
 担当講義は電磁理論,電磁波論,超高周波工学等であった。
 研究面では,電磁波論,相対論的電磁界理論,マイクロ波・ミリ波工学,光伝送,光デバイス,レーザ応用などの分野において,多くの先駆的成果を挙げた。
 昭和46年熊谷は第一講座担当教授に昇任した。昭和53年板倉定年退官後,しばらく熊谷が本講座も兼担していたが,昭和59年より倉薗が担当教授となり現在に至っている。
 なお,平成元年,情報システム工学科の設置に伴う電気系の再編により,講座名称を電磁波工学講座と改めた。現在の研究室の人員構成は教授倉薗貞夫,助教授塩沢俊之,助手中川健,技官平雅文,同岡本良一,事務補佐員中山美津子の教職員と大学院生13名,研究生1名,学部4年生9名である。
 現在,学部の電磁理論I,II,III,電磁波工学I,IIの講義を担当し,大学院では,電磁界理論特論,電磁波工学および同特論の講義を担当している。
 研究の内容は,対象とする電磁波工学の性質上多岐に亘るが,我々は基本を重視し,理論面ではコンピュータを用いたシミュレーションにより,各種の電磁波デバイスの設計法と特性解析を進め,実験面では,9GHz帯24GHz帯および50GHz帯の各装置を用いて,マイクロ波,ミリ波伝送系の各種デバイスの特性評価を行い,新しい応用分野を開拓する研究を行っている。最近の主な研究対象は,
(1) マイクロ波・ミリ波集積回路
(2) 光伝送回路及び光集積回路
(3) 自由電子レーザ
(4) マイクロ波電力応用
などである。