「大阪大学25年誌」から

第4講座 (教授 菅田栄治担当)

 第4講座は昭和17年5月2日に制定され、熊谷教授、青柳教授、菅田助教授の3名が昭和19年9月22日まで分担したが、菅田助教授が教授になるにおよんで担当し現在に至つている。この講座は電子工学の研究と教育とにその活動の主目標をおいている。
 この講座に属して研究に従事した職員および研究員の在職期間は次の如くである。
 教授:菅田栄治(講師昭7.3.31ー12.4.4。助教授12.4.5ー19.9.21。教授19.9.22ー現在) 助教授:佐野鉄太郎(昭20.10ー23.6.30退官)。中井順吉(昭24.9.10ー現在)。学内講師:寺田正純(助手昭25.10.25ー30.10.24学内講師30.10.25ー現在)。助手:横家弘重(昭17.7.31ー現在)。小檜山茂(昭18.7.31ー20.12.27)。益尾興(昭22.10.15ー23.2.21)。西谷芳雄(昭23.3.31ー30.4.16)。大学院特別研究生:中井順吉(昭19.10.1ー24.9.10)。寺田正純(昭20.10.1.ー25.9.30)。永見剛一(昭21.10.1ー26.9.30)。来住徹(21.10.1ー23.9.30)。建石昌彦(昭24.4.1ー29.3.31)。中村勝吾(昭25.4.1ー30.3.31ー現在研究生)。
 大学院:金田重男(昭26.4.1ー現在) 樋口恭夫(昭26.4.1ー30.3.31)。裏克己(昭28.4.1ー現在)。
 過去16年間に遂行された研究項目の主なるものをあげる。
 1. 電子幾何光学の研究
 昭和8年から始めた電子幾何光学の理論および実験的研究を現在も続けている。
 電子ビーム像の廻転角を利用する方法、その他でレンズ磁界の測定を行い、かつその磁界に対するレンズ定数を計算して適当なレンズの使用法を示した。(協力者:西谷、金田、浜田博修士大学院学生)。
 2. 電子顕微鏡の研究
 菅田教授が電気工学教室に属していた当時から行つていた研究を現在も続けている。中間像をも撮影して利用し得る電子顕微鏡を考案して、その試作援助を通産省より受けこれを実現した。また目下は空気中にある生物をも観察し得る新しい型の電子顕微鏡を設計するための基礎研究を行いその実現を期して努力している。この研究に対して昭和30年度の朝日科学奨励金を授与された。(協力者:横家、小檜山、内海、川勝、田中、西谷、建石、金田)
 3. 電子銃の研究
 3電極より成る陰極レンズによつてつくられる電子銃から発射される電子ビームのクロスオーバーポイントを中心として研究を行つた。最近は電流密度の高い中空円筒形ビーム発生用の電子銃について研究中。(協力者:中井、寺田、永見、来住、中村、金田)
 4. 電子放出現象の研究
 強電界放出の利用を期してその理論と実験とを行つた。酸化物陰極よりの熱電子放出に関してはニツケル基体金属の処理法について研究を行い,放出電流を増大することができた。また電子衝撃のため陽極から出るガスによつて酸化物が影響を受けることを検討しパルスエミッションの機構を明らかにした。
 蒸着被膜よりの放出電子の速度分布を中心としてその研究を行つた。(協力者:中井、中村、広瀬、益尾)
 5. 超高周波領域に於ける電子現象の研究
 反射型クライストロンにおける反射電界中の空間電荷界と、その集群におよばす影響を解析し、試作管について実験的検討を試みた。更に空洞間隙よりみた電子アドミタンスの測定法を確立し、その振幅特性等を検討した。一方大電力粍波電子波管の遅波回路として螺線溝型の導波管および同軸回路をとり上げ、その遅波特性等を研究中。(協力者:寺田、裏、平木、浜田)
 6. その他
 エクスパンダーを写真電送に応用し、NS比改善をねらつた研究を佐野が行つた。また走査によつて現われる偽像について菅田は伯田宏と共に研究を行いその簡単な説明法を得た。